室内循環式レンジフード。見積中に森みわさんが設計した前沢パッシブハウスで実物をはじめて見て、仕様変更し採用した。
従来のレンジフードは調理の際に発生する油煙や蒸気、臭気などの汚れた空気を屋外に排出している。
当然、室内は負圧となり排出した分、外部の空気を取り入れることになる。冷暖房負荷が上がる。
それに対し室内循環式は、換気扇の中でフィルターに通すことで汚れや臭気を取り除き、奇麗な状態にしたものを室内に戻して循環させる構造になっている。
スタイルはやぼったいのに、アリアフィーナなどより高価で、温熱環境の為だけの人柱だと思っていた。
パッシブハウスでもここまでの設備を導入する例は少なく、コストの問題から関係者でも賛否は分かれる。ガスでは採用できないので商売でお客様の家を作る場合は歯切れが悪くなるからではと思うが、料理する際に外気を入れなくて良いのは冷暖房負荷低減の上で大きなメリットとなるはずだ。
実際、冬に大きく恩恵を実感することとなった。よく冬季の乾燥を防ぐためストーブの上にやかんを置いたり加湿器をつけないと湿度が30%台になるという話を聞く。第1種全熱交換換気のエコハウスでも40%いくかいかないかというところをいくつか見た。
我が家の場合は22℃のとき、相対湿度45%〜55%くらいで安定している。引っ越しから1年経過し、過乾燥による肌荒れなどは感じていない。
12月の湿度変化のグラフ見ると、全熱交換換気だけではなく、室内循環型レンジフードのおかげもあって乾きすぎ防止になっているかな。レンジフード弱でも200㎥/h, 中なら300-400あるので、料理中にその分の乾いた外気が入ってこないのは大きい。
https://t.co/8HqQFWvU1d pic.twitter.com/LCwGiIbkHv
— shiro (@ki460) December 30, 2019
さて、揚げ物をよく作る僕ら家族としては、以下の2点が不安だった。
1.匂いはとれるか。
揚げ物の空気が室内に戻るなんて、本当に匂いは取れるのだろうか。その心配は完全に杞憂だった。前の家で使っていた普通のレンジフードよりも、匂いがしないのはどういうことだろうか。
IHではガスコンロと異なり、フライパンや鍋周りの無駄な上昇気流が発生しないので、そもそも部屋の中に油が拡散しにくい。だからだとしか説明のしようがないが、先日もうちでパーティーをやり牡蠣フライをたくさんあげたけど、友人たちも匂いはしないと言っていた。
いちおう補助換気機能付きで、普通の換気扇と同じようにダクトを接続し、匂いの強いものは室内に戻さず排出できるタイプを選定している。だけどカレーのときですら出番がない。使ったのは一度ポップコーンを焦がしてしまい思いっきり煙が出たときくらいだ。
2.換気扇が油べったりにならないか。
フィルターで空気をきれいにして戻すということは、どうなってしまうんだろうと心配していた。
実際には個人がアクセスできるのはスロットフィルタまで。油吸着、脱煙、脱臭などの各フィルタはメーカーのが数年に一度来てメンテナンスしてくれる。
スロットフィルタ手前までの部材はもちろん食洗機できれいになるので手間いらず。
もちろん室内が負圧にならないので、薪ストーブとの相性もバッチリ。
見た目の部分だけ工夫すれば、高性能住宅で特に薪ストーブを使う家にはぜひおすすめしたい設備だと思う。
ガスコンロの場合は燃焼で大量のCO2が出るため室内循環式は使えない。その場合は同時給排式になると思うけれど、物によっては強風や薪ストーブで使用していないときでも外気が入って来てしまうと関係者から聞いたので、気密施工のプロにおすすめを確認したほうがいいでしょう。
仕様
富士工業 室内循環式レンジフード 補助換気機能付きシリーズ NSRF-RKH-751