リビング


© 上田 宏

リビング

ずっと家の中でテレビとソファーが一等地を占め、リビングという名前がついているのが疑問だった。
結婚して最初の住居は立地だけで決めた50平米程度のマンションだったけれど、テレビを置かなかったため、2人ぐらしでも十分な広さがあったし、「コンセプト`3-1 暮らし中心の設計」のとおり、新しい家ではもう一度家族の過ごし方に合ったリビングを作ろうと考えた。

Sさんからの提案は、薪ストーブだけ設置し、あとは自由なスペースにするというものだった。

僕なりの解釈だけど、各々が好きなように過ごせる場所だと思った。おもちゃで遊びたければ遊べばいいし、工作したければすればいい。くつろぎたければ薪ストーブに火を入れ、ラウンジチェアを置けば、それ以上何が必要だろうか。

こうしてテレビを置かないことで生まれた、自由で美しい空間が僕らのリビングになった。

 

図書コーナーとつくりつけのソファ

家づくりを考え始めるまえ、漠然と図書室がほしいと思っていた。けれど、住宅を高断熱化しスペースを絞るイメージが出来、あらためて考えてみると、引っ越しの多かった我が家は蔵書の大半をスキャンしていることに気がついた。

もう紙の本は写真集と絵本くらいで、増えるのもそれらとお気に入りの作家の小説くらいだ。

Sさんと相談し、リビングの角に大工造作で本棚と、ちょっとしたソファを置くことにした。ソファには詳しくないのでお任せし、僕からのリクエストは「洗えること」(子供がいるとすぐ汚れるので必須)と「動かせること」(将来のレイアウト変更に対応できるよう)の2点をお願いした。

クッションは布地を選び、Sさんがいつも依頼しているという長野県内の製作者さんによるもの。クッションを外すと一応収納になっていて、いつも使っていないものをしまっている。

コーヒーを置けるサイドテーブルはコンセント付き。

座るとテラスやその上の屋根も見える贅沢な雰囲気で、窓ふきとかどうするんだって思ったけど、ここに窓があってよかった。


© 上田 宏

床:クリ無垢材
薪ストーブ:JOTUL F305 外気導入
炉台:コンクリート平板
ソファ:家具造作
クッション:小林椅子製作所
本棚:大工造作
窓:YKKAP APW431, APW430, ウッドテック秋冨(Low-Eトリプル)
天井照明:Panasonic
壁照明:Koizumi
 

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