エリアを絞ってからの、土地の探しかた

さて、追分の御影用水周辺で土地を探し始めた。

御影用水周辺では、2016年9月当時、6箇所の売物件が有り、ひとつひとつ現地を見て回った。
軽井沢での土地探しは普通の市街地で分譲地を買うのと異なり、いろいろな点を考慮する必要がある。

晩秋の御影用水

 

用途地域

用途地域とは何でしょうか?土地を買う前は気にしたこともない人が多いでしょう。

用途地域(ようとちいき)とは、都市計画法の地域地区のひとつで、用途の混在を防ぐことを目的としている。住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、第一種低層住居専用地域など13種類がある。
Wikipedia contributors. “用途地域.” Wikipedia. Wikipedia, 18 Jan. 2018. Web. 18 Jan. 2018.

簡単に言うと、自治体がそのエリアはどのように使うか定めるもの。
軽井沢で家を建てるために土地を探すと、「第一種低層住居専用地域」か「第一種住居地域」のどちらかまたは「無指定地域」になるだろう。

一見どちらも住宅しか建てられないように聞こえるが、気をつけなくてはいけないのは、「第一種住居地域」というのは住宅だけのエリアではない。3000㎡までの店舗・事務所・ホテル・ガソリンスタンドなどが認められている。
住居地域だから家の周りに家しか建たないと油断していたら、軽井沢町独自の規制はあるが、結構な大きさの商業施設が作れてしまうのだ!

また軽井沢の第一種住居地域は、建ぺい率60%。
試しに下のように絵を書いてみたけれど、かなり圧迫感がある。

一般的な住宅地と同じで、木々を残した雰囲気にするにはもっと厳しくないと無理だろう。

 

建ぺい率比較

 

一方「低層住居専用地域」であっても家だけしか作れないというわけではなく、住居併用型の飲食店などは、建物の1/2以下で50㎡までの範囲で作れる。
散歩中に立ち寄りたいカフェや、近所の人が使う惣菜屋などは営業可能だ。

また軽井沢の第一種低層住居専用地域は建ぺい率20%。建物を立てても、充分緑が残る。

この用途地域 ー ゾーニングのゆるさが海外の美しい街並みと、日本を分けている最も大きな要因のひとつだと思う。田舎だと、景色が綺麗で住宅がポツポツある場所が準工業地域になっていて、ある日工場ができたりする。

実は各自治体の役所に行かなくても、どこがどんな用途地域かは、長野県統合型GIS「信州くらしのマップ」で確認できる。
※法令、規制 → 都市計画情報 と進んで左側で用途地域を選択。いろいろなレイヤを重ねられるけど、見にくいので絞るのがオススメ。

重いので、軽井沢の場合はこの地図をご参照下さい。丸の中に建ぺい率、容積率が書いてあるけれど、自然保護対策要項で別途規制がかかるので注意。

今回は、周りの将来的な景観のことも考え、「第一種低層住居専用地域」はマストとした。

 

接道状況

軽井沢の別荘地は、個人や法人所有の道路が多い。
分譲地と違って当然通行地役権なんて設定されておらず、公道扱いでも維持管理は住民だったりする道路もある。

また冬のことを考えると、自治体の除雪車が通るのは、自治体が管理する一定レベルの道路(公道)で、更に舗装路の必要がある。

自分たちが探している土地に通じている道が、公道なのか私道なのか、公道にしてもどういう性質のものか?どう調べるか。
町役場の窓口に行けば、管理しているかどうか分かるので、本気で絞り込んだあとなら、不動産会社に聞けばどういう道路かすぐ調べて回答してくれる。
もしそれができない不動産会社とは付き合わないほうが良い。

 

また別荘地によくあるのが旗竿地。長いアクセス道路は、除雪が大変なのと、建築時水道を引き込む費用が多めにかかる。
その半面、より自然に囲まれる感は強いと思う。また道路から離れているので、子供を遊ばせるのも安心。別荘地の中でも、信号がないからかすごいスピードを出して通る車は多い。

僕の場合は仕事柄災害時に出かける必要が考えられるので、舗装された公道に接道している事が望ましいと考えた。

接道状況

 

ハザードマップ

軽井沢に限ったことでなく、土地を探す際は災害に強い土地かどうかが重要。
不動産屋では積極的に教えてくれないけれど、例えば河川に近く低い場所は水害の危険性があったり、というもので、各自治体が災害時にどうなるか想定し、公開している。

軽井沢特有といえば、浅間山関連と、急傾斜地が多いので土砂災害警戒区域が結構多い点になる。

Webで見にくい場合は町役場に行けば、配布用のものが置いてある。どちらも追分の僕らが探しているエリアでは関係なかったので一安心。

 

土地の大きさ

軽井沢は条例で第一種低層住居専用地域は300坪以下の分筆は禁止されている。

これ自体は素晴らしいことだが、御影用水徒歩エリアは人気が高いからか、周辺より坪単価が150%ほど高めだった。

そのため土地の大きさもあって、別荘をつくるために土地を購入する富裕層には問題なくても、僕にとっては田舎に家を建てるイメージの土地代からとは大きく乖離してしまう。

大きな土地が無理なく買えれば問題ないが、予算配分で、よい建物が建たなくなってしまっては意味がないと考えた。

土地の大きさ

 

僕が建てる家は大きくてもガレージ込みせいぜい40坪程度、建ぺい率からは20%の場合200坪あれば問題ない。
昭和43年の条例施行前に分筆されていた土地については300坪以下のものも存在し、そうした200坪弱の土地なら、一般的な大きさのものより800−1000万円近く安価になる。

もちろん敷地は広くて困ることはそれほどないので、資金があれば大きい土地がいいけど、予算配分で建物の素材やスペックを下げることになったり、今後の生活において、住を充実させたばかりに衣食、趣味や余暇を楽しむ余裕が無くなるのであれば、適切なサイズの土地を選ぶのもいいのではないか、と自分を納得させた。
ホントはちょっと悔しいけれど。

実際のところ僕の場合、土地探しを始めた時点では全く建物のイメージがなかったので、少し狭くても手元の貯金で購入でき、のちのちの設計建築にも影響のない範囲を上限とした。

 

古家付きについて

僕が探していた頃、見た土地の半分は古い別荘が残されていた。

一般的な解体費用の目安は3-5万円/坪必要になる。保守的に見積もると土地の費用に加え200万円の解体費用が必要になる計算だ。

ただし、古家の無い土地とそこまでの価格差がつくかといえばそうではない。分譲地ならともかく、軽井沢の別荘地で雑木林っぽいところを買うと、
 ・樹木伐採費用(30-50万円)
 ・水道引込費用(10-100万円)

といった費用が必要になることが多い。
建物解体時には重機が入るので、解体と同時に伐採することで、この費用をを大幅に減らすことが可能となる。

また、古い家があれば井戸水でない限り水道が引き込まれているので、権利負担金(13mm,20mm)や工事費が不要になる。
水道引込費用の幅が大きいのは、軽井沢の場合距離が長い場所が多いのと、取り出しが舗装されている場合は舗装復旧も必要になるので、個別見積しないと何とも言えないからだ。

軽井沢に限った話ではないけれど、いいなと思う場所ほど昔から人が住んでいたりする。
また見た物件の中には、壊すのがもったいなくリフォームすれば住めるなと思わせる建物もあった。

 

そこで壊すことになっても、水道と樹木伐採を考えれば解体費用とそれほど差がないので、古家付きでもOKとした。

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